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コラム
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みなさんの会社では、新製品や新サービスの販売に関して、どのようなルールをもって、営業活動の仕組みを作られていますでしょうか。
はじめて扱う商品について、いきなり「これいい製品だから売ってきて」と言われても、そうそう売れるものではありません。
どんなように提案すれば顧客が興味関心を持ってくれるのか、少しでも有利な状況で商談を進めることができるのかなどについて、試行錯誤を繰り返す時間が長期化してしまうことでしょう。
一方で、もし優れた営業トークスクリプトがあれば、その時間を大幅に短縮することができます。トークスクリプトには、新しい商品サービスを営業する際や、新人営業パーソンの戦力化を早めるための、組織として営業力の底上げをする効果があります。
では、“売れる”営業トークスクリプトとは、どんなものなのでしょう。
どのように作りだすのか、その作り方の「ポイント」についてお話しします。
目次
まず一番に上げられるのが、教育効果です。
トークスクリプトを「教科書」として機能させるもので、まだ、営業について「右も左もわからない」新人の営業パーソンにとっては、営業活動を行う上でのベースメントとすることができますし、営業力を高めたいと考えている営業メンバーにとっては、トークスクリプトと自分が話している商談内容を比較し、その差異から自分の弱点や改善点を認識することができます。
また、基準となる「ベース」が存在することで、組織としての戦略的なアプローチ自体を、営業のトーク部分からも改善しやすくなります。
もし、営業メンバーが思い思いに個々で考えた内容を話していると、その内容のどこが顧客に刺さるアプローチなのか、また、どこに改善すべきポイントがあるのか判断ができません。
営業パーソンの全員が同じスクリプトに沿って商談をしていれば、「トークスクリプトのどこそこを変えたら、数字がよくなった/悪くなった」というデータが収集できるので、分析すべきポイントも明確になり、改善のPDCAが回しやすくなります。
もし、訪問してくれた営業が自信なさそうに、不安そうに話す営業パーソンだとしたら…、そのような営業パーソンに自社の業務の一部をお任せしたい、もしくは、その企業の製品を購入・利用したいと思う顧客は多くないと思います。
顧客からすれば、「自信がない」ということは、製品・サービスやその提案に本当は勧められない点があるのではないかなどと、疑ってしまうこともあるからです。
そのようなことが無いように、あらかじめトークスクリプトを用意して準備をしておけば、話す内容が決まっているので自信を持って堂々と話せるようになります。
「誰に話すか」を決めていないのに、話す内容を決めることはできません。
売れる営業トークスクリプトの第一歩は、トークの相手のなる想定顧客を作成することです。この想定顧客のことを、マーケティング用語ではペルソナと呼びます。
最低限、相手はどんな企業なのか、役職や担当業務、抱えている課題は押さえてください。人事評価項目、提案の評価軸も併せて考えると、具体的な人物像が浮かんでトークスクリプトを作りやすくなります。
教科書的な意味でのペルソナでは、休日の過ごし方や家族構成、趣味なども設定しますが、法人営業でペルソナを設定する際にこうした情報は不要です。ビジネス関連の事柄に絞った方が、ノイズが少なく扱いやすいペルソナになるでしょう。
▼法人営業でのペルソナの例
○企業情報
・従業員数300名のSIer。50名が営業に従事していて、新規と既存の商談の割合は1:9。売上の安定しない受託事業中心からの脱却を目指して、クラウド型の定額サービスを開発し、その拡販に努めている。
○顧客情報
・役職:営業マネージャー
・担当業務:営業部門のマネジメント
・課題①:定額サービスの拡販を進めたいが、既存客のフォローにリソースが食われてしまい思うように営業活動ができていない
・課題②:管理部門から残業の増加を指摘されており、主に労務管理の面から残業削減はマストの課題だが解決策の目処が立っていない
・人事評価項目:営業予算の達成と、定額サービスの新規契約数
・提案の評価軸:数字の裏付けがあること
「ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルではなく穴である」というマーケティングの世界でよく話にでる格言があります。
要するに、顧客が求めているのは「壁に開いた穴」という利益であって、別の言い方をすれば、その目的を達成できるのであれば、別にドリルでなく別の工具でも構わないですし、工事業者に依頼をしてもよいわけです。
顧客の抱えている課題に耳を傾けないで、製品・サービスのセールストークを重ねるのは、先ほどの格言でいえば、壁に開いた穴が欲しい顧客に対して「このドリルはネジ締めにも使えますよ」とまったく顧客が必要としていないファンクション(機能)やソリューション(課題解決)を一生懸命にアピールしているようなものです。
当然、顧客はあなたにそれ以上の関係性を作ろうとはしないことでしょう。
ピントの外れた、“トークスクリプト”にならないように、顧客の課題を想定し、その解決ができることをイメージできるような内容にしましょう。
「とても便利です」「効率がよくなります」と定性的な汎用トークを何度も繰り返す。それで顧客が興味や関心を持ってくれることは少なくなっています。
なぜなら、デジタル化の浸透とともに、営業セクションに限らず、多くの組織でデータドリブンな定量的なロジックで、さまざまな局面を判断することが定着してきているからです。
ですので、曖昧に表現するのではなく、
「導入企業の70%が、この機能を毎日利用しているほど、アクティブな活用率が高く、同種のアイテムと比較しても、12ポイントほど高い数値になっています。このように数値からもわかるように、各社様で活動を行う上で重要なアイテムとしてお使いいただいています」
ですとか、
「導入の1年後、半数以上の企業で残業時間を80%削減できました」
といったように、具体的な数字を盛り込むとよいでしょう。
このような事例を示すのが難しければ、「一人あたりの1日の業務時間が30分短くできますので、御社の規模ですと毎月500時間の業務時間短縮につながります」といったシミュレーションを示すのも一手です。
相手の状況によって数字が変化する場合には、トークスクリプトと一緒に早見表を用意しておくと、素早く慌てずにシミュレーションの結果を伝えられて便利です。
営業トークスクリプトは作って終わりというものではありません。
随時見直して、よりよいトークスクリプトになるよう改善を繰り返していきましょう。
そうしてノウハウを積み重ねたトークスクリプトは、あなたの営業組織にとって強力な武器になるはずです。
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