情報通信
株式会社出前館
営業スタイルの標準化で加盟店舗を増やす
「カーといえばグー!」で知られるクルマ情報誌「グー」や、車に関する総合情報を紹介しているクルマ・ポータルサイト「グーネット」の運営会社である「プロトコーポレーション」。同社は「営業の訪問活動改革」を目指し、活動登録にかかっている工数削減や属人化している営業活動からの脱却に取り組んでいる。今回は、営業の訪問活動改革のために採用されたシステム「UPWARD」の導入効果について、東京第1事業部の山田氏と古澤氏、GCP推進部の齋藤氏にお話を伺った。
東京第1事業部 事業部長
山田公 氏
GCP推進部
齋藤祥太 氏
東京第1事業部
古澤直人 氏
これまでプロトコーポレーションは、全国を網羅する事業基盤から収集した情報を活用することで、事業を拡大してきた。新車・中古車情報以外にも輸入車の総合情報を扱う「グーワールド」や全国の車パーツ情報を扱う「グーパーツ」、メンテナンス情報を扱う「グーピット」、車の買取りや査定などの情報を扱う「グー買取」、バイクのバイヤーズガイドとなる「グーバイク」など、さまざまなサービスを展開している事でも知られる。
「当社の大きな課題の1つが“営業の訪問活動”でした。これまでの営業活動は、属人的で一人当たりの担当顧客数は年々増加しているにも関わらず活動内容はそれぞれの記憶に頼っている状況でした。そのため、営業ノウハウのチーム全体への共有が難しく、担当が変わるたびに顧客との関係を構築し直す必要に迫られました。そこで、この訪問活動を見直すことで、営業活動の効率化・生産性の向上ができるのではと考えたのです」と東京第1事業部・事業部長の山田公氏は語る。
現在、多くの企業が「働き方改革」を実施。残業を減らす努力をする一方で、会社としての成長性は確保していかなければならず、さまざまな業務での効率化・生産性の向上が図られている。
「営業の訪問活動改革」は、同社にとって働き方改革に繋がる施策の1つであった。
「これまでのやり方だと、報告書の作成や社内報告に時間と工数がとられてしまいます。調査結果によると、営業活動の6割近くが『クライアント訪問以外の営業“外”工数』だったのです。この営業外工数を削減することができれば、同じ勤務時間で訪問できる件数を増やすことができるはず。これを実践するため、営業部員の活動を支援するCRM(顧客関係管理)とSFA(営業支援システム)の導入検討が始まりました。」と山田氏は話す。
そこで、同社が選定したソリューションが、「Salesforce」とフィールドセールスの訪問活動を支援するクラウドサービス「UPWARD」だった。
「UPWARDを本格導入する前に、3カ月間の事前検証を実施。費用対効果が高いため、UPWARDを導入することになりました」とGCP推進部の齋藤祥太氏は振り返る。
費用対効果が出たのは、活動報告の手間を削減し、営業活動の効率化を実現できたため。
「以前のシステムでは、営業部員が報告するためにはクライアント名から入力する必要がありました。しかし、訪問先が中古車ディーラーでは似た店名が多く、リストから“○○オート”などと検索してもなかなか見つけ出せません。しかしUPWARD導入後は、地図上からクライアントをタップするだけで、すぐに入力が完了。こうした細かい点で効率化が進んだ結果、活動報告時間が半分まで削減できました」と東京第1事業部の古澤直人 氏。
こうして、UPWARDの導入した結果、訪問件数を維持しつつ、残業時間の大幅な削減に成功した。
UPWARDで入力した情報は、社内SNSに自動的に投稿され、チーム全体に共有される仕組み。「社内SNSで情報共有をすることで、クライアントの課題や質問に対して上司や営業メンバーともタイムリーに情報交換できるようになりました。営業部員からは、“これまでは報告や相談のため上司や営業部員に都度メールや電話していたが、1回の報告だけでチーム全体にスムーズに情報共有できるようになった”と好評です。このようにUPWARDを使うことで、訪問後の鮮度が高い情報をリアルタイムに共有できる環境を作ることができました。この効果は大きいと感じています」(齋藤氏)とのこと。
さらに活動報告の情報はCRMにも蓄積されるので、どのような活動が商談発生や受注に結びついたのかについても「可視化」できるようになった。
「活動状況が可視化されると “訪問忘れ”をチェックできるようになりました。その結果、訪問のムラがなくなり、行くべきお客様先にきちんと訪問できるようになったのです。それが生産性の向上にも繋がっているのだと思います」(古澤氏)
こうして高い導入効果を生んだUPWARDだが、定着するまでに1年半もの期間を必要とした。その理由は、UPWARDを使わない営業部員が少なからず存在したからだ。
「UPWARDは活用することで営業成績があがるため、営業部員にとっても有益なツールとなっています。しかしその一方で、一部の営業部員からは“ツールを介して管理される”と嫌がられたのも事実。実際、営業部員の中にもUPWARDを使わないメンバーもいました。その抵抗感を取り払い、みんなにUPWARDを使ってもらうようにするまで、かなりの時間を要しました」(古澤氏)
同社では、すべての営業部員に対して「訪問活動改革のためにUPWARDの使用が欠かせないことを丁寧に説明し、ゴールのイメージがわかるようにしました」(山田氏)とのこと。その一方で、「“UPWARDを使っていない営業部員は活動実績がない。つまり営業活動をしていないことになる”という環境作りを、徹底しました」(齋藤氏)。こうした活動が功を奏し、営業部員全員がUPWARDを使い始めた頃から、次第にその効果の高さを実感するようになったという。
「ツールの定着は、“社風に合わせ浸透させること”、“ロールモデルをどう作るのか”がポイントになります。UPWARDでは、それが非常にうまくいきました。いまでは、全国の営業部員から“こういった使い方は可能か”というような要望が届くほど。ツールが浸透し、活用されている証拠です」(山田氏)
UPWARDを利用して1年半。営業目標を達成し続けているという。
「UPWARDを導入して、マネジメントが大きく変わりました。電話とパソコンがあれば場所を問わず業務ができるようになったのです。これまで報告のために毎日のようにあった会議やミーティングも激減。しかし、営業目標はきちんと達成できています。UPWARDの効果を実感しています」と山田氏は言う。
今後、同社はUPWARDを成長のエンジンとし、営業部員が能動的に活動できるような施策で営業活動の効率化を図り、訪問件数を上げていく予定だ。また、地方への浸透をより一層推進し、営業活動全体の底上げも狙う、という。
現在、離職率が高く、人材の確保が難しい企業も少なくない。そういった企業にとって、営業活動の効率化や生産性向上は避けて通ることができない喫緊の課題だ。UPWARDは、定着しやすい上、目に見えて効果が上がるツールである。そういった企業にとってプロトコーポレーションの事例は参考になる部分が多いだろう。